歴史の風 34 ~文化財レスキュー活動~
歴史の風 34
~文化財レスキュー活動~
東日本大震災で被害を受けた市内の文化財については、震災後間もない5月中旬からその実態調査を行うとともに、文化財資料の保全を目的にレスキュー活動を行いました。
調査活動では、地震・津波による被害が甚大だった八幡・南宮・山王・市川地区に所在している板倉等の被害状況と歴史(文書等)・民俗資料の把握と保全を図ることとしました。このうち、板倉の所在調査については、その歴史的価値の重要性から、のちに調査対象地を市内全域に拡大しています。
調査体制は、当時、市職員が被災者支援業務に従事していたため、緊急性、専門性が必要との判断から、県外の市町村文化財担当職員(協力員)の協力をいただきました。協力依頼をした市町村は、福岡県太宰府市、神奈川県小田原市、東京都国分寺市と三重県明和町です。
調査期間は、5月23日から7月1日までの6週間を要しました。調査活動にあたっては、被災状況確認班を設置して建物解体や保管資料廃棄の有無を確認しました。また、倉に保管されていた民俗資料等を片付けながら搬出する調査・搬出班や津波で水損した文書を応急処置する保存処理班も設置して資料の保全に務めました。この活動は、他市町村からの応援職員をはじめ市民の皆さんのご支援、ご協力のお陰で無事に終えることができました。
この文化財レスキュー活動によって、所在が確認された倉は189棟を数え、レスキューされた資料は約4000点に及びました。これらの資料は、当市の近世・近代の歴史を伝える大切な文化財であり、将来にわたり守り続けていきたいと考えています。
この文化財レスキュー活動の様子と寄贈された資料については、平成24年3月10日から6月10日までの期間「文化財レスキュー活動報告展―東日本大震災と多賀城市の文化財―」で紹介しました。