歴史の風 101 〜高橋の大日講〜
歴史の風 101
〜高橋の大日講〜
高橋の大日堂では、年に2回、2月8日と12月8日に地域の女性たちが集まり、本尊である大日如来に手を合わせています。この行事はオヨウカ(お八日)やオコモリ(お籠り)と呼ばれており、2月の集まりでは1年間の地域の発展と安全を祈願し、12月にはそのお礼参りをしています。
平成30年時点で加入しているのは15戸ですが、かつては30戸ほどが加入していました。参加する女性は1戸から1人で、基本的にはしゅうとめが参加し、亡くなったり体調を崩したりという機会に嫁に引き継がれます。
現在「大日講」という呼び名はほとんど聞かれなくなりましたが、『多賀城市史3民俗・文学』には「大日講」として、「集落の人々が米を持ち寄り、握飯を作って供え、一同で握飯を食べて祭りをしている」と記されています。近頃は、参拝後の直会(なおらい)で、弁当を広げるようになりましたが、かつては四つの班ごとに当番の自宅に集まり、持ち寄った米でにぎり飯を作り、それを食べながら会話を楽しんだということです。当時は参拝時に米を供えることも多く、大日堂に上げられた米もオヨウカのにぎり飯を作る際に用いられたと言われています。
また、当日、祭壇には白米を炊いたご飯が一膳供えられますが、これをオボッキといい、下げた後は全員に少量ずつ配られます。
市内には、信仰に関する女性の講が各地域に存在しましたが、その多くは解散し、残った講も講員の高齢化などで存続が難しい状況にあります。しかし、そのような中で大日講は若い世代の女性も多く、時代に合わせてかたちを変えながらも、地域の歴史を紡いでいます。