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歴史の風 137 ~古代のまじないの道具~

歴史の風 137

~古代のまじないの道具~

 古代、多賀城の南面に広がるまち並みでは、さまざまなまつりやまじないが行われていました。疫病(えきびょう)などを引き起こす悪いものの侵入を防ぐ道のまつり、神が宿ると考えられた井戸のまつり、自身の穢(けが)れを流す水辺のまつりなど、日々の暮らしの安寧への強い思いが多様なまつりやまじないの痕跡に表れています。

 そのような祭祀(さいし)には、日常生活では使わない特殊な道具が使用されました。道や境界のまつりでは、まじないの言葉を記した立て札や土器、男性器の形をした陽物(ようぶつ)形木製品などが使用され、穢れを流すまつりでは、顔が描かれた土器や人間や馬、舟などの形をした形代(かたしろ)を使用しました。このほかにも、場を清めるとされる斎串(いぐし)や、五芒星(ごぼうせい)(*1)や九字(くじ)(*2)を記した土器、絵馬など、さまざまな道具が見つかっています。

 これらが見つかる場所にも特徴があります。道や境界のまつりに使った遺物は、古代の道路跡や交差点付近、多賀城の城内と城外の境目などから出土します。穢れを祓(はら)う儀式に使われた遺物は、古代の道路の両脇に掘られた側溝や、砂押川の跡(砂押川の流れている場所は現在と古代とで異なっています)、湿地など、水に関係する場所から出土します。

 これらの道具やその根幹にある考え方は、一部かたちを変えながら現在もその片りんを見ることができます。絵馬や神社の大祓(おおはらえ)の人形(ひとがた)、祈願成就や守護のまじないなどがその一例で、古代とのつながりを感じられる入口は、日常に多く存在しています。

(問)埋蔵文化財調査センター TEL368-0134