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歴史の風 20 ~発掘されたレンガ~

歴史の風 20

~発掘されたレンガ~

平成23年、東北学院大学多賀城キャンパス北側にある高崎遺跡の発掘調査で、切石とレンガを積んだトンネル状の地下施設を発見しました。市内の発掘調査で、レンガを使用した施設が確認されたのは初めてのことです。(広報多賀城平成24年6月号「歴史の風12」掲載)

日本でのレンガの製造は、幕末にさかのぼります。当初は手作業で成形されていましたが、レンガを成形する機械の導入によって大量生産が可能になり、建築資材として多用されるようになりました。

高崎遺跡のレンガは、どのように作られたのでしょうか。出土したレンガを一つ一つ観察すると、2種類のレンガがあることがわかります。一つは、人の手によって型抜きされ、表面を滑(なめ)らかに整えられたもの。もう一つは機械製のもので、粘土をピアノ線で切り離した際に生じたちりめん状の痕跡が残っているものです。

では、これらのレンガはどこで製造されたものなのでしょうか。出土した機械製レンガの中に、「上敷免(じょうしきめん)製」という刻印の押されたものがありました。「上敷免」とは、現在の埼玉県深谷市にあった村の地名です。

ここには日本煉瓦(れんが)製造株式会社の工場があり、明治20年(1887年)から平成18年(2006年)まで操業していました。日本で初めてレンガ成形機械を導入した工場で、東京駅や日本銀行旧館など、近代を代表する建築物にレンガを供給しました。刻印レンガは、ここで製造され、多賀城に運ばれてきたのです。

今回の調査で、地下施設が作られた時期は戦中から戦後であることが分かりました。しかし、何に使われたのかは明らかではありません。当時の状況をご存じの方、写真などをお持ちの方は、埋蔵文化財調査センター(☎368・0134)まで情報をお寄せください。